Philoarts フィロアーツ 

藝術と日常の物語

プーさんの森

夜が長いと、本が読みたくなる。もともと本は大好きだけれど、最近は仕事に関する書物が多く、小説を読む機会が少なくなってしまった。

それでも欠かさず読んでいるものがある。それは児童小説と絵本だ。もちろん子供向けだけれど、むしろ大人が読んだほうが良いと思うものがたくさんある。

 フィギュアスケート羽生結弦さんといえば『クマのプーさん』。なぜ、そんなに彼がクマのプーさんを好きなのか、わからないけれど、あののほほんとした顔と、ちょっと抜けているキャラクターは、常にストレスを抱えているアスリートには必要不可欠な存在なのかもしれない。

 私が企業研修を行う時には、各テーブルにぬいぐるみを置くようにしている。すると受講者は考えが煮詰まったときや、コミュニケーションのきかっけに、そのぬいぐるみを手に取る。面白いもので柔らかなぬいぐるみを手に持つと表情が和らいでくる。表情が和らぐと、不思議と心が和らぎ、頭も柔らかくなる。

ぬいぐるみだけでなく、猫のモフモフしたからだをマッサージすると癒されるという人はとても多い。

子どもも大人も、柔らかなものが好きなのだ。

 

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 2018年7月14日の朝日新聞天声人語クマのプーさんのことが書かれていた。

 クマのプーさんが住む森は実在していた。作者のA・A・ミルンが英国のいなかで手に入れた農場があり、そこに大きな森があった。幼い息子とぬいぐるみのクマ、そして森がミルンの想像力を刺激した。

 その息子クリストファーが後に書いている。「森にゆけば、私たちはほとんどの場合、森を一人じめにすることができたのだった。そのため、森は私たちのものだという気もちが、私たちに生まれ・・・・・・」(『クマのプーさんと魔法の森』)。

 プーが抜けだせなくなったウサギの家も、ロバのイーヨーのすむじめじめした土地も、ここから生まれた。挿絵のため、ミルンは画家を森に招いている。

 本で見た森の地図を覚えている方もいるだろうか。その絵が先日、英国の競売にかけられ、約6300万円で落札された。値段の多寡はともかく、報じられた「たぶん児童文学で最も有名な地図」との言葉にうなずく。

 時間が流れているような、止まっているような。一人のときを大事にしつつ、いつでも友達と一緒になれる。うらやましくなる世界が、物語にある。例えばコブタが「プー、きみ、朝おきたときね、まず第一に、どんなこと、かんがえる?」とたずねる場面。

 「けさのごはんは、なににしよ?ってことだな・・・・・・コブタ、きみは、どんなこと?」「ぼくはね、きょうは、どんなすばらしいことがあるかな、ってことだよ。」

 プーは、かんがえぶかげにうなずきました。「つまり、おなじことだね。」(石井桃子訳)』

 もう一度、クマーのプーさんを読み直して見たくなった。きっと、大人になって忘れてしまったものを思い出させてくれる気がする。

 

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