Philoarts フィロアーツ 

藝術と日常の物語

とても美しい5月

とても美しい5月 僕の心の中には 恋が芽生えた これは、ドイツの作曲家ロベルト・シューマンが、ハイネの詩に作曲した連作歌曲『詩人の恋』の第一曲目『とても美しい5月』の一節である。 私は1993年から2年間、ドイツ南西部の都市・フライブルクに留学してい…

日本における都市の美の不在

なぜ日本では、人を深く感動させる美しい都市が存在しないのか。 ヨーロッパの街を歩いていると、しばしばその美しさに感動を覚える。それに比べて日本は、人間の暮らす都市を自然と調和させ、美しく創造するという発想や意識が欠けている。 ドイツ フライブ…

無為自然な暮らし方

世の中が変わる乱世の時代、自分自身のあり方の思想といえば、老子と荘子が有名だ。合わせて「老荘思想」と呼ばれ、儒家の礼や徳の重視を人為的な道徳として否定し、「無為自然」を説いた。 さまざまな自然現象を比喩として、無理することのない伸びやかな生…

自分を超えた知覚と絵画

東京都美術館で「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を開催している。17世紀オランダを代表する画家ヨハネス・フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》の画中画の壁面にキューピッドが描かれた画中画が塗り潰されて…

星野道夫『旅をする木』

写真家、故星野道夫に魅かれて彼の著書『旅をする木』を読んでいる。1999年に出版され、今年で第52刷という、多くの人から愛されている名著だ。 1997年に公開された、龍村仁監督の映画『ガイアシンフォニー第3番』の中ではじめて、アラスカの自然を撮り続け…

日本人はクリエイティブなのだ

2012年にアドビが実施した調査によると、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、日本の5か国中で「最もクリエイティブな国」は米国を押さえ日本が1位だった。東京はNYを押さえ「最もクリエイティブな都市」に。しかし、日本人に同じ質問をすると、日本は最…

ビジネスの世界にもアート思考の波がやってきた!

近年、ビジネスの世界においても、アートへの関心が高まっています。実はビジネス界でアート思考が注目されてからすでに15年以上が経過しています。2004年にはハーバード・ビジネス・レビューで「The MFA is the new MBA」(MFA=芸術学修士は新しいMBAである)…

レンブラント・ファン・レインの自画像

美術館でその自画像を見たとき、その「まなざし」から目が離せなくなってしまった。深く刻まれた皺と人生の荒波を乗り越えてきた、どこか達観したようなまなざし。浮き沈みの激しい人生の中で描かれただろう自画像。 画家の名はレンブラント・ファン・レイン…

アートと哲学

アートと哲学。 この2つは私がとても惹かれるもの。2つとも「難しいそう」と思われていますが、アートと哲学はよく似ていて、私たちの人生に無くてはならないものです。 では、アートと哲学に共通しているものは何でしょうか?という質問の前に、そもそも…

おとな芸大生誕生!!

久しぶりのブログ更新で、タイトルも内容も模様替えしました。 というのも、2021年4月に京都芸術大学通信教育学部芸術学部芸術教養学科に編入したのであります(^^)/ 京都芸術大学外苑キャンパス もともと音楽学校出身で、ドイツ留学中もヨーロッパ各地を旅行…

駆け込み無料食堂 北千住の「ウチワラベ」

コロナが落ち着いたら行ってみたいお店がある。 北千住にある「銀鮭専門割烹兼駆け込み無料食堂ウチワラベ」だ。築70年の古民家に昨年1月にオープンした。 宮城県石巻市の銀鮭を使った和食店と無料食堂を兼ねている。無料食堂は子供だけでなく、親子や大人も…

「ロンリネス」と「ソリチュード」2つの孤独

今日は成人の日。 昔は1月15日と決まっていたので、11日が成人の日と言われても、どうもしっくりこない。やっぱり、私にとって成人の日は1月15日なのだ。 成人の日が1月15日と決まったのは、どうも満月と関係があるらしい。 昔は、「元服の儀(奈良時代以降…

変えられるものと変えられないもの

新型コロナウィルスの感染が拡大する前の朝のホームは、電車を待つ人であふれかえっていた。 電車が到着すると人々は電車の入り口に吸い込まれ、どこかに運ばれていく。そしてホームは空っぽになる。するとまたどこからともなく人が集まり、再びホームに人が…

プーさんの森

夜が長いと、本が読みたくなる。もともと本は大好きだけれど、最近は仕事に関する書物が多く、小説を読む機会が少なくなってしまった。 それでも欠かさず読んでいるものがある。それは児童小説と絵本だ。もちろん子供向けだけれど、むしろ大人が読んだほうが…

やっぱり猫が好き💛

猫は家の境界線をスイスイと軽やかに超えていく。こっちにおいでよ、と私を誘うけれど、人間にはルールがあってそこを越えられない。 猫は自由でしなやかで、ちょっとツンデレなところがたまらなく可愛い。やっぱり私は猫が好きだ。 私は動物の心の声を聴く…

メッセージの伝え方

コロナ禍によって起こった大きな変化のひとつに、在宅ワークがある。私もオンラインMTGが増え、対面で話すことはほとんどなくなった。 在宅ワークのメリットとデメリットについていろいろと検証されはじめているけれど、わざわざ一箇所に集まらなくても仕事…

2021年のお正月

小さい頃、初夢を楽しみにしていた。初夢でその年が良い年かどうか占うという風習に、胸をドキドキさせながら、祈るように眠りついたものだ。今年はというと、すっかり初夢のことを忘れていて、たぶんとっても普通の夢だったとしか思い出せない。 初夢は、文…

切られた木

近くの環状八号線沿いの街路樹が無残にも切られていた。 あまりの悲しさに、その場で茫然と立ちすくんでしまった。 まるで木の無残な切り口から血が滴り落ち、木の叫びが聞こえてくるようだった。 切られた木 70年ずっとこの地で育った方とお話をさせていた…

1973年のオイルショックと2020年のcovidー19

この二か月近く、家にこもっていた。コロナウィルスの感染予防で仕方なくではあったけれど、この間、社会は大きく変わり、今までの当たり前が突然、目の前から消えた。 店からトイレットペーパーやティッシュペーパー、マスクが消え、朝から買い求める人たち…

今夜は電気を消して・・・

私は毎朝、毎晩、瞑想をする。朝は近くのお寺まで散歩に出かけ、お参りしたあと、境内のベンチに座り、朝のキラキラしたやさしい太陽の下、鳥たちの囀りを聞きながらしばし瞑想をする。 夜は眠る前に、すべての電気を消して、キャンドルに火を灯して、静寂の…

ごはんの祈り

食事の前と後に、物心ついたころからずっと手を合わせて唱えている言葉、「いただきます」と「ごちそうさま」。 「いただきます」とは、[生きるためにあなたの大切な命をいただきます]という意味が込められている。「ごちそうさま」は、食材に始まり、調理…

動中静(どうちゅうのじょう)

禅語:『動中静(どうちゅうのじょう)』 “どんな状況に置かれても、心の静けさを保ちなさい” 慌ただしい日々の中でも周囲の価値観や状況に惑わされることなく「安寧」を願い、心穏やかに過ごしましょう もしも心がざわめいたときは、ゆっくりと呼吸をして、…

SDGs 残された人類の希望と奇跡に向けて

SDGsを達成するために本当に必要なこと。 それは、人間と人間が、人間と自然が、人間と大地が1つの環(サークル)となってお互いの生命を敬いつつ、謙虚に生きること。 この環はサークルであり、ホ―ルネスであり、ワンネスでもある。 最近、他の企業との差…

サステナ塾は、持続可能な世界へのシフトを目指す

私がまだ、小さかった頃、各家の前に木製かコンクリート製の小さなごみ箱があって、母に頼まれて、週2回のゴミ清掃車の来る朝、小さなゴミ袋に入ったごみを、そのごみ箱に入れに行ったことを覚えている。今のごみの量のおそらく5分の1程度か、それ以下かも…

侘び寂びが地球を救う? Wabi-Sabiの世界

侘び寂び(わびさび)。 このたった四文字の奥に広がる宇宙を私はいつも感じる。 “わびさび”は、近年、西欧社会で“Wabi-Sabi”と表記され、日本の魅力として認知されつつあるけれど、外国の人に「わびさび」について聞かれても言葉に詰まる。 感覚的にはわか…

国連「1.5℃特別報告書」の警告

長いゴールデンウィーク、横浜の実家に戻ると、庭の蜜柑の樹に白い蕾がたくさん、たくさん顔を出していた。 この蕾が開き、白い美しい花が蜜蜂を惹きつけ、蜜蜂の力を借りて受粉をして、冬にはおいしい蜜柑の実を実らせてくれる。 この奇跡的な自然の営みを…

がんばれ新一年生!!

今日から新年度。ピカピカの一年生が、街に溢れてちょっといつもと違う朝。 うん十年前、新卒で入った会社の入社式が半蔵門であった。横浜から乗る東海道線の朝のラッシュは私の想像をはるかに超え、どうやって乗るのかもわからないまま、結局、入社式に遅刻…

聖なる大地 セドナ

アメリカ、アリゾナ州セドナ。パワースポットのひとつとして、世界中の人々を魅了する場所。ここを訪れることになったのは、導かれたとしか言いようがない。 人生は、不思議なことの連続だけれど、私には”導かれた”と思う場所が3つある。 1つは、28歳の時…

江戸の町♡探訪①

江戸時代は、人口も安定し、国内だけの物質収支で成り立っていた循環型の持続可能な社会だったと言われています。 徳川家康が征夷大将軍になった1603年から大政奉還の1867年までの265年間を江戸時代といいますが、この約250年間、日本は外国から侵攻されるこ…

そば粉のクッキーはおひさまの味

三連休の初日、何十年かぶりにクッキーを焼いてみた。 しかも、自分で育てた蕎麦の粉で。 昨年の夏から茨城の金砂郷でそば栽培を始めたみたものの、自分でそば打ちをしないので、そば粉のレシピを色々を思案していた。 そば粉のガレットにそばがき、パンケー…